山下レディースクリニック
副作用と血清について。
2008年2月3日
はじめまして。三十代後半で出産経験がありません。
体外受精(顕微授精)の治療を始めようとしています。
薬に対する副作用がとても心配です。
体質が変わったり、体重が増加したままだったり、癌になりやすくなったりする可能性はありますか?
また、培養液に使う血清が心配なのですが、患者血清を選択できる病院が近くにありません。病院が購入する血清のリスクにはどんなことがありますか?安全面から考えると、自分の血清のほうが安心だと思っているのですが。
お忙しいことと思いますが、どうかよろしくお願いします。
まず、ARTで使用される薬についてですが、ご心配されているような副作用(体質の変化、体重増加、癌になるやすくなる)がでるものはございません。
ART治療中のもっとも心配される副作用は、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)ですが、それもGnRHアンタゴニスト製剤(注射薬/セトロタイド)を用いて排卵コントロールを行い、採卵準備にGnRHアゴニスト製剤(点鼻薬/スプレキュアなど)を使うことで回避可能ですので、主治医の先生とよくご相談ください。
次に培養液の件ですが、自己血清を培養液に添加しているところは、今では、ほとんどないのではないでしょうか。それというも、血清の自家調製はたいへん煩雑な作業で、しかも卵巣刺激のホルモン剤の影響を受けている可能性があるので、必ずしも胚を育てる環境として有利な組成だとは限らないからです。
市販の血清や血清アルブミン等の血液製剤に関しては、血液ドナーのチェックやウィルス感染のチェックなどは当然ながらパスしていますし、加熱滅菌処理もしてありますので、安全性についてはほとんどご心配はありません(ただし、未知のウィルスに関しての対応策はないため、「100%の保障」はされていないのが現状ですが)。
<ご注意>
この相談事例集は、あくまでも参考にとどめ、実際に何らかの行動をとる場合には、
必ず医師の診察を受けて下さい。
なお、この相談事例集により万が一不都合、不利益を被った場合でも、
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