山下レディースクリニック
不妊治療の進め方・方法について
2008年4月5日
お忙しいところ失礼いたします。
私は今年36歳。2歳半の子供がいます。この子もセキソビット・HCG1回・デュファストンで半年で授かり、現在二人目不妊で治療を始めて半年です。
クロミッド・HCG2〜3回の治療を3ヶ月受け、HMG1日おき・HCG2〜3回の治療を1ヶ月受けました。プロラクチンが若干高めだったため(授乳中でした。現在は卒乳しました)途中から内服治療をしています。2ヶ月前と先月の2回卵管造影を行い、右閉塞・左狭窄との診断を受けました。主治医からは年齢・卵管形成術の身体の負担・術後も卵管機能は完全に回復する確証はない事、HMGで卵巣が腫れ、軽度の腹水が溜まった事を理由に、体外受精(全胚凍結)を勧められました。
主人と話し合い、卵管鏡下卵管形成術を日帰りで行っている病院(かなり遠方ですが…)で受け、その上で体外受精をしたいと思っております。手術を希望する理由は体外受精を休んでいる期間も自然妊娠の確率を上げたいからで、できれば3人目の子供も考えたいからです。卵管が通って正常に機能する確率は少ないとしても、棄てきれない思いがあります。
質問は
@主治医は卵管形成術後再び卵管が詰まる可能性が高いと言っているが、一般的にそう言われているのか。先生は私のようなケースに卵管形成術を勧めるか。
A治療の間や体外受精の体を休ませる期間は、自然妊娠の期待もしてはならないのか(最小限の薬剤で左の卵巣からの排卵を促したり、エコーによるタイミング指導、通水治療などで卵管の通りを少しでも良くする等は望んではいけないのか)。主治医は「休みの期間だから」と治療をしない話しぶりです。
B病院の話だと、最近はどの病院も培養液の差がなくなってきて、体外受精の成功率も大差がなく、どの病院でも同様という事だったが、本当か。技術的な差は影響しないのか?
C体外受精時に毎日HMGを打つと言っているが、副作用が強いのに必ず毎日打たなければいけないものなのか。
基礎体温は一応2層にはなっていますが、上昇が緩やかで自分で排卵日を見極めるのが難しいです。受診時に色々質問はするのですが、「体外受精での妊娠」に話が行きがちで「私の妊娠」に焦点が無い様で、軽い不信感を持ってしまっているのですが、私も働いていて夜間しか受診できない事・保育士がいる病院の為、子供と一緒でも安心して受診できる(違う病院では子供は泣き叫びました)事から医師の変更・転院は難しい状況です。
長々と申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
お話は、わかりました。まず卵管形成術後、再び 卵管が詰まる確率についてですが、高いとまではいえないまでも、傷が癒える過程で再癒着が起こる可能性については否めないでしょう。また通過性が改善しても機能がダメージを受けている場合には妊娠にはつながりませんので、手術のリスクに見合うだけの成果も期待できないと は思います。それでも、体外受精には速やかに進みつつ、わずかなりとも自然妊娠の確率も高めておきたいということであれば、試されてみてもいいでしょう。
ところで、『ゆっこ』さんは排卵誘発剤をまったく使わずとも排卵はおきるのでしょうか? 体外受精の合間に自然妊娠にチャレンジされることには賛成ですが、そのためには少なくとも「片側の卵管の通過性が確 保されていること」と
「排卵誘発剤を使わずとも排卵が起こること」が条件です。体外受精後は卵巣刺激の影響が卵巣に残っています ので、数ヶ月は排卵誘発剤を完全に中止して卵巣を休ませる必要があります。「排卵誘発剤がなければ自然排卵に時間がかかる」、もしくは「排卵しない」状況であれば、私としても、体外受精で妊娠を目指すようおすすめしたいと考えます。
体外受精の成功率については、主治医の先生のおっしゃる傾向は確かにあります。 胚の凍結保存をおこなっている施設、胚盤胞移植を行っているような施設であれば 劇的な差はないと考えていいと思います。
十分な数の卵を得るためには、ある程度連続して投与する必要があるのです。全凍結する前提ということですから、OHSSを予 防する考えがおありなのだと思いますよ。
<ご注意>
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